覚せい剤・覚醒剤(弁護士コラム)
覚せい剤・覚醒剤に強い刑事事件の弁護士が、覚せい剤・覚醒剤のよくある質問にお答えします。覚せい剤・覚醒剤事件のことでお悩みなら、弊所の刑事弁護士にご相談ください。名古屋など全国の都市でお待ちしております。
覚せい剤・覚醒剤の弁護士コラム
覚醒剤の所持や使用で逮捕・起訴された場合、どのような刑罰を科されるか?
あなたが覚醒剤の所持や使用の罪で逮捕・起訴されたとします。その場合、どのような刑罰が科されるでしょうか。
覚醒剤の所持や使用に対する刑罰は、刑法によってではなく、覚せい剤取締法に定められています。
法律で定められた覚せい剤事件の刑の重さは
○覚せい剤を所持したり使った場合
覚せい剤を、営利以外の目的で所持したり使用したりしていた場合の法定刑は、10年以下の懲役と定められています。
○覚せい剤を営利目的で所持していた場合
覚せい剤を転売してお金を得るなど営利の目的で所持していた場合の法定刑は、1年以上20年以下の懲役と重くなります。さらに、500万円以下の罰金が併せて科されることがあります。
裁判等で下される覚せい剤事件の量刑の相場
具体的な量刑は、罪の重さと前科の有無などを考慮して決められます。
○覚せい剤の量が少なく初犯の場合
所持や使用した覚せい剤の量が大量でなく、かつ初犯である場合には、懲役1年6か月・執行猶予3年となるのが通例です。使用量がことに微量であったなどの有利な情状があるときは、懲役の刑期はもう数か月少なくなる可能性があります。
○覚せい剤の量が少なくても前科がある場合
所持や使用した覚せい剤の量が大量でなかった場合でも、前科がある場合には、懲役2年前後で執行猶予は見込めなくなるでしょう。
執行猶予中に覚醒剤で2回目の逮捕・起訴をされた場合、再度、執行猶予はつかない?
覚醒剤事件で起訴された場合、初犯なら、執行猶予がつくのが通例です。
では、その執行猶予中に、また覚醒剤事件の再犯を行ない、逮捕・起訴された場合、再度の執行猶予はつけられるでしょうか。
再度の執行猶予の場合
再度の執行猶予を得るための要件は、非常にハードルが高いです。具体的には、
①言い渡される刑が1年以下の懲役・禁錮であること
②特に酌量すべき情状があること
③前科について保護観察がつけられ、その期間中に再犯をしたのでないこと
という3つの要件が必要です。
○言い渡される刑が1年以下の懲役・禁錮の場合
薬物事件の場合、同種事件の二回目、三回目…と回数を重ねるにつれて、量刑も6か月ほどずつ重くなります。そうすると、前回の刑がたとえば懲役1年6か月だった場合には、今回の刑は懲役2年前後が予想されます。
○特に酌量すべき情状がある場合
執行猶予中に同種の再犯をしたことは、非常に悪い情状として評価されます。そのため、覚醒剤事件の前科で執行猶予中にまた覚醒剤事件の再犯をした場合、再度の執行猶予となることは極めて難しく、実刑になるのが通常です。
再犯について実刑となった場合
覚せい剤の再犯で実刑判決を受けた場合、刑務所で服役することになります。その際、前回の刑についての執行猶予が取り消されます。その結果、前回の分の刑も併せて執行されることになります。
覚醒剤の売人として逮捕・起訴された場合、懲役何年になるか?
あなたが覚醒剤の売人をしており、そのことが発覚して逮捕・起訴されたとします。その場合、判決で言い渡される懲役の刑期は、どれくらいになるでしょうか。
(なお、売人として行なっていたことは、売買、運び屋、密輸を想定します)
覚せい剤を売買していた場合
覚せい剤を売買していた場合には、営利目的による覚醒剤の譲渡または譲り受けの罪として、1年以上20年以下の懲役が科されるほか、500万円以下の罰金が併せて科されることがあります。
覚せい剤の運び屋をしていた場合
覚せい剤の運び屋をしていた場合には、営利目的による覚醒剤の譲り受け・所持または譲渡の罪として、1年以上20年以下の懲役が科されるほか、500万円以下の罰金が併せて科されることがあります。
覚せい剤の密輸をしていた場合
覚せい剤の密輸をしていた場合には、営利目的による覚醒剤の輸入(場合によっては輸出)の罪として、無期または3年以上20年以下の懲役が科されるほか、1000万円以下の罰金が併せて科されることがあります。
覚醒剤事件の裁判の流れは?
覚醒剤事件で起訴された場合、裁判の流れはどのようになるのでしょうか。
覚せい剤事件の裁判の流れ
公判期日では、人定質問や起訴状朗読、罪状認否が行われた後、証拠調べに入ります。証拠は、証拠物や証拠書類を取り調べた後で、証人や被告人を尋問するのが通常の流れです。あなたが自白して犯行を認めている場合には、証人尋問の際に情状証人を尋問することがしばしばあります。証拠調べが終わった後は、検察官・弁護人ともに、証拠の評価や求める判決についての意見を述べます。これで結審となり、あとは判決の言い渡しを待つだけです。そして、判決期日に判決が言い渡されます。
覚せい剤事件の裁判は傍聴できる
覚せい剤事件の裁判の流れは、傍聴することができます。憲法上、裁判は公開の法廷で行なうものとされているからです。また、裁判記録は、事件の終結後に、何人でも基本的に閲覧することができます。ただし、弁論の公開が禁止された事件や、一般の閲覧に適しないとして閲覧が禁止された訴訟記録は、訴訟関係人等でなければ閲覧することができません。
裁判員裁判になる覚せい剤事件
覚せい事件が裁判員裁判になるかどうかについては、覚醒剤の輸入・輸出または製造事件だけが、量刑に無期懲役刑を含んでいるので、裁判員裁判の対象事件となります。
覚醒剤を他人に打たれた。逮捕・起訴されたが冤罪だと主張できないか?
ここでは、あなたが他人から、他人の所持していた覚醒剤を打たれた場合を想定します。
覚せい剤を自分で注射した場合
注射によって覚醒剤を使用したという容疑の場合は、あなたが自ら打ったか、または他人に打ってもらった場合に覚醒剤使用罪が成立します。つまり、あなたの体内への覚醒剤の注射について、あなた自身の意思的な関与が必要なのです。
覚せい剤を他人に打たれた場合
あなたが覚醒剤を他人に打たれた場合、あなた自身がそれに意思的に関与していないときは、覚醒剤の使用罪は成立しません。そのときは、あなたにかけられた疑いは冤罪です。裁判でも、あなたが注射に意志的に関与したことが証明されない限り、無罪となります。
覚醒剤依存症の家族を更生させたい。どうしたらいいか?
「家族が覚醒剤依存症になってしまいました。このままでは後遺症で心不全になってしまったりするのではないかと心配です。ぜひ更生させたいです。どうすればいいでしょうか?」という相談を受けることが、しばしばあります。
刑務所で、覚醒剤から更生するのは難しい
刑務所には、覚醒剤専用の更生施設はありません。そのため、覚醒剤依存症を本格的に更生させ、社会復帰させようとするときは、民間の治療施設や更生施設を利用することになります。
更生施設の具多例
そのような施設として、ダルクが有名です。ただし、ダルクは費用がネックになって利用できないという人がしばしばいます。また、ダルクは各地域に施設があり、各施設によって更生の効果に差がありがちであることに注意が必要です。ですので、ダルクを利用する際には、そのダルクがどれだけ更生に効果的な施設かを見極めたいところです。
また、薬物依存症者の人たちに具体的な回復の道筋をコーディネートする活動を行なっている団体として、NPO法人アパリがあります。
よくある覚せい剤・覚醒剤の弁護士相談
車の中で覚醒剤をあぶりで使っていたら、覚せい剤取締法違反の罪で逮捕されました。使用量は微量でしたが、罰金ではなく懲役だろうと言われました。法定刑の量刑の相場では刑罰はどのくらいになりますか?刑期を短くしてもらうことはできますか?
刑期を短くするにはなにか特別な事情は必要なのでしょうか?覚醒剤取締法の事件で懲役か罰金かの量刑相場では覚醒剤の使用量も関係してくると思いますが、今回私の場合は微量だったのですが、それでもやはり刑罰は罰金ではなく懲役になってしまうのか疑問です。
覚醒剤の前科があります。初犯の懲役の執行猶予中に、覚醒剤に手を出してしまい、覚せい剤取締法違反で逮捕されました。再犯で、二回目、三回目となると、実刑は免れないと聞いています。私はどのくらいの罪になるでしょうか?
私のように覚醒剤の前科があり、さらに執行猶予中の再犯の場合、初犯と異なりかなり懲役実刑の年数も長くなると聞いています。自分は刑務所の中で耐えられるか心配です。
元カレが、覚醒剤を中国から密輸して転売する売人をしていたとして、営利目的の覚せい剤取締法の容疑で逮捕されました。運び屋から足がついたと聞いています。判決が出たら、刑期としては懲役何年くらいになりそうでしょうか?
おおよそ今回と同じような営利目的で覚醒剤を外国から密輸し売人をしていたとする覚醒剤事件の場合、過去の判例によると懲役何年くらいの刑期の判決が出ているのでしょうか?一応目安としてお聞きしたいです。
息子が、覚せい剤取締法違反の容疑で起訴され、私が情状証人として裁判にでることになりました。裁判はどういう流れで行われますか?また、今回裁判員裁判にはならないと聞いていますが、傍聴人に見られたり、裁判記録が見られないようにすることはできますか?
裁判員裁判にならないにしても、裁判はわりと判決がでるまで長期間にわたり行なわれていくと聞いていますが、今回もそうなるのでしょうか?また弁護側が傍聴人や裁判記録について見られないようにするなど、采配できるのでしょか?情状証人として証言する場合に気をつける点など教えてほしいです。
覚せい剤使用の容疑で、警察に逮捕されました。でも、交際相手とセックスするときに、知らないうちに打たれたもので、私は自分で覚醒剤を使ったわけではありません。これは冤罪ではないでしょうか?私の無罪を証明してもらうことはできますか?
覚醒罪事件の過去の判例で冤罪として無罪を証明した事件はあるのでしょうか?
息子が覚せい罪を使っていました。家族で相談し、ダルクなどの更生施設で更生させることにしましたが、費用はいくらくらい必要でしょうか?また、覚醒剤の後遺症から回復し、社会復帰できるまでに、どのくらいの期間がかかるでしょうか?
また家族全員で相談し、更生施設ダルクだけに頼るだけでなく家族一丸となって息子の更生や後遺症からの回復をサポートし早く社会に復帰してもらえるようしようということにもなりましたが、やはり費用の面がさしあたって心配ですので詳しく教えてもらいたいです。