「児童ポルノ事件のよくある質問」
Q児童ポルノとは何ですか?
児童ポルノとは、児童買春・児童ポルノに係る行為等の処罰及び字度の保護等に関する法律(通称・児ポ法)2条3項で定義されているデータをいいます。
具体的には、写真、画像データメモリ(USB等)のうち、①児童(18歳未満の男女)の性交または性交類似行為が写ったもの、②児童の性器等を触る行為又は児童に触らせる姿を写したもので性欲を興奮させ刺激するもの、③衣服の全部・一部を着けない児童の姿で、ことさらに児童の性的な部位が露出・強調されているもので、かつ、性欲を興奮させ刺激するもの、と定義づけられています。
このうち、③は、平成26年の改正によって、殊更に児童の性的な部位が露出・強調されていることが要件として付け足されました。
Q児童ポルノを持っていると犯罪になると聞きました。本当ですか?
犯罪になる可能性があります。
児ポ法では、みだりに児童ポルノを所持してはならないという規定があります(児ポ法3条の2)。また、これと関連して、自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金と定められています(児ポ法7条1項)。
また、児童ポルノを提供する目的での所持は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金となります。
Q二次元の画像も児童ポルノになりますか?
現状、二次元の画像は児童ポルノにはなりません。
アニメや漫画のいわゆる二次元画像(非実在青少年)のうち児童ポルノに類するものについて、2010年ころ、東京都の条例で規制するかどうか議論されました。しかし、児ポ法レベルでは、児童ポルノは実在する18歳未満の男女を被写体とするものに限られていますので、いわゆる二次元画像は規制されていません。
Q児童ポルノ画像を持っているのですが、私は逮捕されますか?
児童ポルノ画像を所持している目的にもよります。
児童ポルノ「提供」の目的で所持している場合には、児童ポルノ提供目的所持罪(現7条3項)が成立します。提供目的所持罪の法定刑は、1月以上3年以下の懲役または1万円以上300万円以下の罰金です。そのため、逮捕状が発布されて通常逮捕される可能性が十分にあります。
また、児ポ法の改正により、児童ポルノ単純所持罪、つまり自分の性的好奇心のため児童ポルノを所持した場合も犯罪にあたることになったため、経過期間を終えた平成27年7月15日以降は単純所持でも逮捕される可能性があります。
児童ポルノ画像で逮捕されるか不安な場合は、弊所の顧問弁護士を利用すると便利です。依頼後は、担当の弁護士と何回でも電話で相談することができますし、突然逮捕されてしまった場合は、ご相談者の事情を把握した担当の弁護士がすぐに駆けつけます。
Q女子高生から裸の写真を送ってもらいました。犯罪ですか?
犯罪です。児童ポルノ製造罪が成立します。
写真に裸で写っている相手が18歳未満だった場合は、その写真は、児童ポルノにあたります。そして、裸の写真を自撮りして送ってもらうことは、児童ポルノを製造することになり、児童ポルノ製造罪が成立します。
また、人に提供する目的で裸の写真を送ってもらった場合には、児童ポルノ提供目的製造罪(7条3項)が成立します。
そして、不特定多数の者への提供または公然と陳列する目的で、裸の写真を送ってもらった場合には、児童ポルノ公然陳列目的製造罪(7条7項)が成立します。
児童ポルノ製造罪や児童ポルノ提供目的製造罪は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が法定刑となっています。また、児童ポルノ公然陳列目的製造罪は、単純な製造よりも悪質と判断され、法定刑が5年以下の懲役または500万円以下の罰金となっています。
弁護士を立てて対応した場合は、当初の予定よりも早く釈放されたり、何もしない場合と比べて刑罰が軽くなる可能性があります。
Q女子中高生の水着画像を持っています。児童ポルノ所持になりますか?
女子中高生の水着画像であっても、アングルや構図によっては児童ポルノにあたる可能性があります。
何が児童ポルノに当たるかは、基準が抽象的です。検察官が児童ポルノに当たると思えば起訴され裁判になり、最終的に裁判官が児童ポルノに当たるかどうかを判断することになります。
Q女子中学生の裸の着替えシーンを盗撮しました。どのような犯罪ですか?
児童ポルノ製造の罪が成立することになります。
女子中学生の裸の着替えシーンは、児童ポルノにあたるため、これを撮影することは、児童ポルノの製造(児ポ法7条5項)にあたります。
児ポ法7条5項は、平成26年の法改正により新設された規定で、ひそかに児童ポルノに該当するような児童の姿を写真等に描写することにより児童ポルノを製造する行為を処罰するものです。
Qファイル共有ソフトを使って児童ポルノをシェアしました。犯罪ですか?
犯罪です。ファイル共有ソフトを利用して、利用者が児童ポルノ画像を閲覧・保存できる状態にすることは、児童ポルノを提供または児童ポルノを公然と陳列したとされ、児童ポルノ提供罪または児童ポルノ公然陳列罪(児ポ法7条6項)が成立することになります。
法定刑は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金、あるいはその両方となっています。
なお、児童ポルノ提供罪、児童ポルノ公然陳列罪のどちらの罪に問われるかは、検察官がどちらで起訴するかにもよりますが、最近は、公然陳列罪として扱われることが多いようです。
弁護士を立てて対応すれば、共有の故意がなかったことを主張して、不起訴にできるケースがあります。不起訴で事件が終われば、前科がつかないので、その後の社会復帰・職場復帰がスムーズです。
Q児童ポルノの件で警察から連絡がありました。私は刑務所行きですか?
初犯であれば、いきなり刑務所に行くことはまずないです。刑務所に行かずに社会復帰することも十分可能です。
そもそも、児童ポルノの罪の場合、法定刑として懲役刑が定められていますが、児童ポルノの提供・所持・製造の各罪で、いきなり懲役刑となり、刑務所に行くことはそう多くありません。
ほとんどのケースは、略式手続により罰金刑(公開の裁判をしないで罰金を納めて釈放される手続き)として終わり、刑務所に行かずに済みます。
また、刑事裁判になっても、特段の事情がない限り、執行猶予付きの判決で終わるケースが多いです。その場合も刑務所に行かずに済みます。