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児童福祉法違反(弁護士コラム)

児童福祉法違反に強い刑事事件の弁護士が、児童福祉法違反のよくある質問にお答えします。児童福祉法違反事件のことでお悩みなら、弊所の刑事弁護士にご相談ください。名古屋など全国の都市でお待ちしております。

児童福祉法違反の弁護士コラム

児童福祉法とは?

児童福祉法とは、子ども(同法では児童と表現します)の福祉を実現するための基本法です。児福法とも略称されます。

児童福祉法の目的とは?

児童福祉法の目的は、児童の福祉を保障することにあります。児童の福祉の内容は、児童が心身ともに健やかに出生し育成されること、また、児童が生活を保障されて愛護されることが挙げられています。そして児童福祉法は、児童の福祉の保障のため、児童の養育や自立支援など様々な事業を定め、そのための施設についても条文を設けています。児童福祉法は、法務省などではなく厚生労働省が所管しています。これも、目的が犯罪者の矯正ではなく、児童の福祉の実現にあることを受けています。

児童福祉法では、多くの場合告訴がなくても起訴される

児童福祉法は児童の福祉の実現のための施策に強制力をもたせるため、罰則を設けています。この罰則に違反すると、児童福祉法違反の罪になります。児童福祉法違反の罪に、親告罪はほとんどありません。唯一の親告罪は、保育士が職務上知り得た秘密を漏洩(ろうえい)した罪だけです。その結果、その他の児童福祉法違反の罪、たとえば児童に淫行をさせる行為などについては、告訴がなくても起訴できるものとされています。

児童福祉法違反で刑罰が科されるのはどのような場面か?

児童福祉法違反で刑罰が科されるのは、どのような場合でしょうか。

児童福祉法で刑罰が科されるケース

児童福祉法違反で罰則規定が適用されるのは、性風俗に関する場面でいうと、児童に淫行をさせた場合や、満15歳に満たない児童をして酒席での接待を業務としてさせた場合などです。このうち、前者の「淫行」の意味としては、性行為や性交類似行為をいうものと理解されています。つまり、手淫、口淫や素股のように、性交に至らない行為であっても、性交類似行為として刑罰の対象となるのです。過去の最高裁の判例でも、自分の教え子である児童にバイブレーターを渡して自慰行為をさせた行為について、性交類似行為に当たるとされています。

児童福祉法違反で刑務所に行く可能性もある

児童福祉法違反で科される刑罰は、次のとおりです。
・児童に淫行をさせた場合……10年以下の懲役または300万円以下の罰金(併科されることもある)
・満15歳未満の児童をして酒席での接待を業務としてさせた場合……3年以下の懲役または100万円以下の罰金(併科されることもある)

児童福祉法違反の行為が他の法律にも違反する場合がある?

児童福祉法に違反する行為が、他の法律にも違反することがあるでしょうか。
性風俗に関係する局面で児童福祉法に違反する行為とは、児童に淫行させる行為が代表例です。

児童ポルノ禁止法に違反する場合

児童に淫行をさせ、その場面を写真や動画に収めた場合には、児童ポルノを製造したものとして、児童福祉法と同時に児童ポルノ禁止法にも違反するでしょう。

売春防止法に違反する場合

児童に淫行をさせる行為が、同時に売春の周旋(周旋)に該当する場合には、児童福祉法と同時に売春防止法にも違反することになります。

刑法の強要罪に違反する場合

嫌がる児童に無理やり第三者と淫行をさせた場合には、児童福祉法違反と同時に刑法の強要罪等にも該当することになるでしょう。

他方、青少年保護育成条例違反となるのは、自らが児童と淫行をした場合ですので、児童に第三者と淫行をさせることによる児童福祉法違反とは重ならないでしょう。

児福法34条「児童に淫行をさせる行為」は自らが児童の性交相手になることも含む?

児童福祉法34条は「児童に淫行をさせる行為」を処罰しています。この文言は、直接的には、児童をして第三者と性交させる行為を指しています。

この「児童に淫行をさせる行為」に、「行為者自身と淫行をする行為」も含むかどうかは、問題となりうるところです。実際、被告人が男子学生に指示して女子学生を勧誘して連れてこさせ、女子学生に被告人自身と淫行させたケースがありました。このケースでも、「児童に淫行をさせる行為」に当たるかどうかが問題となりました。

児童に行為者自身と性交させる場合は条例違反で処罰される

現実的には、このことが問題となることはあまりありません。というのは、ほとんどの都道府県では、条例によって、「行為者自身が児童と淫行する行為」を処罰しています(長野県を除きます)。そのため、児童福祉法によらなくても、行為者自身が児童と淫行する行為を処罰できるので、児童福祉法の適用を検討する必要に乏しいからです。

児童に行為者自身と性交させた場合の裁判例は

裁判所の判例でも、児童福祉法の「児童に淫行をさせる行為」には行為者自身が児童と淫行をする行為も含むと解釈した判決があるにはありますが、最高裁の判断ではありません。そのため、この点の解釈問題については、いまだ決着がついていないのが現状です。

女性を18歳未満と知らずに風俗店で働かせる行為は児童福祉法違反で罰せられる?

あなたが18歳未満の女の子を、18歳未満だとは知らないまま、風俗店やデリヘル、キャバクラで、風俗嬢その他の形態で働かせていたとします。この場合、「18歳未満とは知らなかった」という弁解により、児童福祉法の処罰を免れるでしょうか。

児童の年齢を知らないという弁解は通じない

児童福祉法では、児童の年齢を知らないことを理由として処罰を免れることは、原則としてできないとしています。そのため、「18歳未満とは知らなかった」という弁解をしても、原則として罰則の適用を受けます。

処罰されない例外的なケースとは?

例外的に、18歳未満と知らなかったことに過失がないときは、処罰されません。そのため、あなたが「18歳未満とは知らなかった」ことについて、相当の注意を払っていた詳しい事情を挙げて、過失がなかったことを立証したときは、罰則が適用されなくなるのです。

よくある児童福祉法違反の弁護士相談

私が経営するキャバクラに、厚生労働省の役人が児童福祉法違反を調べる目的で来ました。うちは児童福祉法に違反していませんが、そもそも児福法とは何か難しくてわかりません。親告罪の条文は少ないと聞いたのですが、どこからか違反がばれて逮捕されるのではないか心配です。児童福祉法の目的と、児福法の条文、児童福祉法違反と厚生労働省との関係について知りたいと思っています。

経営するガールズバーで、17歳の女の子が、お客に性行為に近い性的類似行為をして、経営者の私が児童福祉法違反で逮捕されました。私は懲役になりたくありません。罰金で刑罰を終わらせてもらうことはできますか?罰則規定について、弁護士さんに聞くことはできますか?そもそも児童福祉法違反に規定されている、性行為・性交類似行為という表現が不明確でよく分かりませんので、具体的にどれがセーフでどれがセーフでないのか、教えていただけませんでしょうか?
児童福祉法違反は刑法では規定されていないので、刑罰も刑法犯よりは軽くなると思っているのですが、罰金以外に懲役になることなどあるのでしょうか?

経営するランパブで17歳の子を雇い、半裸で接客する様子を撮り、お客とアフターでホテルに行くよう指示しました。そのことで、警察から、児童福祉法に違反し、さらに青少年保護育成条例、児童ポルノ禁止法、売春防止法違反になると言われました。彼女が嫌がっていたので刑法の強要罪にもなり得ると言われました。どうしたらいいでしょうか?
刑法はなんとなく分かるのですが、児童ポルノ禁止法や売春防止法さらに青少年保護育成条例違反は具体的にどのようなものですか?あまり普段聞きなれていないので、教えてほしいです。

私は若い子が好きですが出会いがありません。私に借金がある大学の後輩が女子高生に家庭教師をしていると聞き、その子を紹介させて性交しました。先日、第三者を教唆して性交や淫行をさせることは児童福祉法違反になるということを知り、裁判になったら厳しい判決が下されると聞き不安です。私はどういう罪になるでしょうか?
刑法のことはよく分からないのですが、そもそも自分が直接ではなく、第三者を教唆して淫行・性交させるということも処罰されるのですか?裁判になったら厳しい判決がくだされると言いましたが、どのくらいの量刑になるのでしょうか?

私はデリヘル形式の風俗店を経営していますが、キャバクラより稼ぎたいという子を風俗嬢として雇いました。実はその子は17歳ということが判明し、私は児童福祉法違反で逮捕されそうです。18歳未満とは知らなかったのですが、歳を確認しなかったことに過失があるので罰則は免れないと言われて困っています。私はこれからどうなるでしょうか?
確かに18歳未満と知らなかったことに私の過失はありますが、故意がないのに処罰されるのは納得がいかないです。風俗嬢・デリヘル・キャバクラどれになるか、今回の女の子のように自分で志願してくる子もいるわけで、そういう子を風俗店を経営する者としては拒むことができない場合もあるのです。そういう場合でも、やはり罰則規定があればそれに従うことになるのでしょうか?例外は許されないのでしょうか?

より詳しい解決方法は罪名別よくある質問に続く
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